2006年08月07日

■水谷勝選手と鈴鹿8時間耐久レース

<前の記事                    次の記事>



今年も、日本の夏を代表する熱いレース、鈴鹿8時間耐久レースが、三重県鈴鹿サーキットで開催され、7月28~30日の3日間、延べ10万人以上の観客が集まって、会場は熱気で賑わいました。
私はスズキホームページの8耐コーナーでリアルタイムレポート担当し、取材でピットの裏側や、ライダーのチームスイートというお部屋など、普段では入れない場所へ行くことができました。

そこにはドラマのような出来事がたくさんあって、8耐の裏側にある様々な感動に触れることができましたが、内容があまりにも多すぎて、全てをお話することができないのが、とても残念です。

水谷勝選手さて、今年の8耐には80チーム以上がエントリーしましたが、そのなかで注目したのが水谷勝選手の『Team MIIR』です。今回は、私が見た生の水谷選手についてお伝えしようと思います。
水谷選手と云いえば、みなさんご存知の方も多いと思います。なんと56歳という年齢でありながらも現役を続けている、まるで“超人”のような方で、メーカーの壁を越えた多くのファンから、絶大な支持を得ているのです。
そして水谷選手には、毎年の8耐で、レースの前にもうひとつの仕事が待っています。



決勝に先立つ29日夜の前夜祭では、全国から8耐にあつまったライダーが、鈴鹿市内から前夜祭会場までをパレードする、“バイクで会いたいパレード”が行われます。

その一環として水谷選手が代表をつとめる、『風の会』の走行も行われるのです。
『風の会』とは、バイクのタンデム走行を利用して、身障者の方にも“風”を感じてもらおうと活動している団体で、その全ては地元の弥富高校やボーイスカウト、そして水谷選手を含む多くのプロライダーや一般の方のボランティアで賄っているそうです。



私も今回、この『風の会』の走行に、ご一緒させて頂きました。









いよいよ『風の会』の走行スタート!


私はカメラマンを後部座席に乗せて、スカイウェイブでみなさんと一緒に鈴鹿サーキットを走りました。

なんと表現したらいいのでしょうか。
今まで味わったことのないサーキットの開放感と、吹き抜ける風の気持ち良さは格別でした。
レーシングコースが、こんなにも走りやすいものだと実感したのは、コーナーリングの時です。
私の拙い運転でも、サーキットは広い道幅で受け入れてくれました(笑)。


いっしょに走行しているライダーと後席に座っている参加者も手を振ったり、笑顔とホーンで観客席にアピールしていて、この気持ちの良い風を共有する喜びのようなものを感じました。
観客席のみなさんが大きく手を振ってくれているのも、コースから見ることができてとても嬉しかったです。

サーキットに広がる青空が凄く綺麗で、吸い込まれそうな夕日がだんだん沈みかけた頃、「いよいよ明日から8耐が始まるんだなぁ。」という実感と共に、私達は爽快な笑顔で『風の会』の走行を無事に終えることができました。


翌日、30日の鈴鹿サーキットは、朝から日差しが強く絶好のレース日和となりました。
水谷選手のマシンは ”Walter Wolf”のカラーリングが特徴の、かっこいいGSX-R1000です。


スタート前にピットでスタンバイしていた水谷選手は真剣な面持ちで、昨日の優しい雰囲気とはまた違った表情をされていました。
それもそのはず、これから過酷な8時間という長い戦いが始まるわけですから!







11:30にレースはスタート。このような長時間のレースでは、いつ何が起こるか予想ができません。
レースが始まると、ピットでは常に万全の準備がなされていて、メカニックやスタッフ達もライダーと同じように気が休まる暇なんてないようでした。

サインボードでライダーに指示を促すスタッフは、その場を離れることがなかなかできません。
チームメイトが栄養満点のバナナと冷たいドリンクをピットサインエリアに届けるシーンを、偶然発見しましたよ。


レースも中盤を過ぎて、残りあと3時間弱となった頃、水谷選手のチームスイートのお部屋に行きお話しを聞かせて頂くことができました。

道橋「水谷選手、大変お疲れ様です。本日の調子はいかがでしょうか?」
水谷選手「いやぁ~。もう疲れた(笑) マシントラブルがあったりでね、前半で飛ばしすぎたから、すでにグッタリよ。」

道橋「そ、それは、大丈夫でしょうか?
残り3時間くらいになりましたが、あと何回走る予定なのですか?」
水谷選手「本当は、合計5回って言ってたから、あと1回のはずなんだけどなぁ・・・。
この分だと、もう2回走りそうやな。おかしいな(笑)」

道橋「1回増えてしまったんですね(汗) 
ところで、8耐では“蜂の針治療”をされているとお聞きしたのですが、今回もですか?」
水谷選手「それがね。今回はいつもの先生が都合で来れなくて。
代わりにナースさんに来てもらって、点滴だけはしてるんだけど、7年間ずっとその針治療やっとったから今年はちょっと辛いんよ。」

道橋「そうだったのですね。いつもの針治療とは、どんな治療だったのですか?」
水谷選手「蜂の針を痛い所に刺すんよ。毒で麻痺するから痛みがなくなるってわけ。
たまに、プロポリスを飲んでるから蜂との愛称はバッチリよ!(笑)」

疲労が溜まり、少しでも休息を必要とするお時間だったのにも拘らず、笑顔で冗談も交えながら答えてくれた水谷選手。
若々しくてかっこよくて、みなさんが憧れるのがよくわかります。


そして19:30のゴール。
奮闘の結果、水谷選手と石川選手の『Team MIIR』は合計202周で、23位という成績を残しました。
実は、この周回数は水谷選手の最高記録になったそうです!

水谷選手は「応援してくれるファンがいる限り、これからも乗るよ。」と力強く答えてくれました。
そのパワーは一体どこからくるのか、不思議でなりません。

挑戦する気持ちと、続けることの大切さを心に感じた鈴鹿8耐。
私の今年の夏を代表する、最高の思い出になりました。






8耐レポートはこちら





<前の記事                    次の記事>